この連載では、以下の2つの問いについて、向き合った記事です。
人類は、なぜ発展したのか?(発展の要因はなにか?)
人類は、どこに向かっているのか?(どんな未来がくるのか?)

 

なぜ、こんな記事を書いたのかという理由ですが、少し私の話をしますね。

私は、大学の在学中(留年中)に、以下の目標を立てていました。

 

『自分が、就職するにしても、起業するにしても、会社と事業についての理解がいる。なので、事業について、大事な要素を知った上で、出来るだけそれについて勉強しよう。

 

事業は、①解く課題の選定と②解くタイミングがかなり重要になる
という話が、調べた範囲で、よく出てくる。だから、

 

『いつ(タイミング)、どこで(就職や起業)、
何を(事業立地=誰に何を売るのか、解くべき課題はなにか)するのか』

 

を社会と自分を合わせて考えよう。

在学中に、「こんな社会にしたい」とか、「するために、こういうアプローチが良いのではないか」といった仮説を、一旦出せれば良い』、と目標を置いていました。

特に、『いつ』というテーマについて考えるために、歴史の発展と技術の因果関係するために、大量の本を読んだりしてました。

理想としては、「『未来に先回りする』佐藤航陽 (著)」のような、くる未来を近づける、ないしは、先に摘むべきことを把握するといったようなことができるようになれたらなと思います。

そのために、歴史を遡って、『どうしてこんな今があるのか?』を知り、考え、歴史を線として捉え、未来を思考する上での土台をつくり、学び続ける必要がある思っています。

 

まあ、この記事は、私が、大学の卒業を節目に、在学中に、ほとんどの時間を割いて勉強したことを、単にまとめようかなと思っただけですけどね笑

 

※注意

この記事では、参考文献にしている本の「歴史の発展の要因についての主張」を取り上げ、まとめ、書いています。

ですが、その主張を証明するための研究内容や裏付けるデータに関しては、記載をしておりません。

なので、もし、書いてることが本当かどうかに関して、データを持ってして、知りたいという方は、参考文献をご覧ください。

 

前置きはこれくらいにして、本題にいきましょう。

 

 

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目次

  • はじめに
  • A. なぜ、発展できたのか?
  • B. 格差が、なぜ生まれたのか(なぜ、今、このような世界になっているのか)
    • 1. 地理的要因
    • 2. 制度的要因
      • 私有財産
      • ・科学的合理主義
      • ・近代資本主義
      • ・インフラ(通信手段、輸送手段)
    • 3. 政治的要因
  • C. なぜ、文明は、崩壊するのか?
  • D. 時系列で発展を見る
    • a. 認知革命/狩猟時代
    • b. 地理的要因
    • c. 農業革命
      • ・コラム①:「経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える」(本)と議論する
    • d. 制度要因・政治体制要因
      • ・コラム②:交換/交流から始まる加速
    • e. 産業革命
      • ・コラム③:私たちは、なぜ、体育が、週5で授業をしなかったのか?
    • f. 包括的な政治制度への変化 〜日本の高度経済成長を例に見る〜
    • g. 情報革命
      • ・コラム④:技術と産業のフェーズ
    • h. AI, IoT革命
      • ・コラム⑤:大学教育で、何を鍛えるべきか?
    • i. ブロックチェーン革命
    • j. GNR革命
  • 終わりに:若者の私たちは、どんな未来をつくっていくのか

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はじめに

この記事を読む際には、こんなような問いを立ててくれたらなーと思っています。

全体を通して
・私たちはどのようにして、不確かな未来を選択するのか?

歴史を理解するために
・発展とは何か?
・発展足らしめたことは何か?

現代をより鋭く洞察するために
・最近生まれた、モノ・仕組み・サービスが、なぜ、今までなかったのか?

未来の考察をするために
・影響力の大きい企業が、これから作り出そうとしている世界は何か?
・社会のより良いは何か?

 

どうして、こんなような問いを出したのかというと。

以下のような人財になるためには、必要なことだと思ったからです。

 

「自ら、目的・理想を設定し、すべきことを明確し、何をどう学ぶべきかの設計をできる人」

 

あるあるな話にはなりますが、時代の変化が早い世の中になったと思います。後述する革命の間隔も短くなっています。

それによって、起こることは、

 

「教育のカリキュラムの変革や変化が、時代の変化に追いつけない」ことだと思っています。

 

それ故に、上述した「問い」と「必要性」について、特に意識しながら、読んで欲しいと思いました。

 

  

では、いきましょう!
vol.1では、Cまでを書きますね。

 

 

【A. なぜ、発展できたのか?】

人類の発展・繁栄を支えたものは、『交換(交流)と分業化』である。交換によって、生まれる分業化が、さらに交換を生み出す。そんなサイクルが、人類の発展・繁栄を加速させてきた。

人類以外で、交換と分業化をしている生物は、いるだろうか。
(前提として、これまでの歴史は、人類にとって、より良いことだったという考えがある。ファクトフルネスに書いてあったように、統計的に、人類の課題(飢餓、疫病、戦争)を確実に、解決してきた。確かに、自殺や肥満など、現代で、生まれたものはあるが、生活レベルの向上は、見逃せない。)

人類の発展・繁栄を支えたものは、「交換」とそれによる「専門化」にある。有史以前のある時点で、食物と道具など物の交換が始まり、人間は「分業」を発見した。各々が、得意なことに集中し、専門化が進み、その結果、イノベーションが促されて繁栄がもたらされた。

自給自足だと、道具から食物まですべて自分でこなさねばならず、それだけでかなりの時間がつぶれてしまう。分業すればするほど、時間の節約につながる。繁栄とは、端的にいえば節約できた時間だと言えるのではないだろうか。

 


【B. 経済的格差が、なぜ生まれたのか(なぜ、今、このような世界になっているのか)】

3つの要因
1. 地理的要因
2. 制度的要因
3. 政治的要因

1. 地理的要因

家畜と作物が、経済的格差を決定づけたという説。発展している国の緯度が、大体同じであり、似た気候によって、人々が、活用できる家畜・作物があったのではないかとされている。

『銃, 病原菌, 鉄』これらが、直接的に、他国の制圧足らしめ、1500年代の帝国を成功させた。この差を生んだのが、地理的な要因(家畜と作物)ではないかと考えている。

 

2. 制度的要因

以下の4つが、人類の発展足らしめた要因である。後の産業革命の要因。

①私有財産、②科学的合理主義、③近代資本主義、④インフラ(通信手段、輸送手段)

これら4つを、一国の政治制度として、いかに、早く、整えられたか。

この制度によって、交換(交流)の促進が行われる。


①私有財産制 (名誉革命, フランス革命)新しいこと・モノを生み出すインセンティブが生まれ、発明・事業を、さらに生み出せた。なぜ、今まで、これが認められなかったのか?

②科学的合理主義 (宗教、虚構):教会の汚職などにより、不満が溜まり、教会と同程度の力を持つものも生まれた(商人, 1200年代以降)。集団的な無知の自認、集団的な無知の自認、無知を探究するための、「科学のフィードバックループ」(科学する(=再現性を持つ)→無知を知る→もっと知りたい)が生じるようになる。結果として、世界の仕組みの理解やテクノロジーの発明を経て、人類の能力を向上させることができると信じるようになる未来への期待や、信頼の思想が生まれる(=進歩思想:資本主義のシステムの確立とあいまって、さらに、この思想が浸透する)

③近代資本主義 (帝国主義, 金融):資本主義とは、「資本が、将来、増加することを信用して、投資が生まれるシステム」のことである。帝国主義によって資本主義が加速した。

帝国主義により、マーケット(土地)が拡大し、植民地にて、利益が創出され、リターンがくるというシステムが、信用をうみ(=進歩思想)、加速した。

信用が形成されるようになったことで、金融制度が発達し、民間や政府など、様々な主体のお金の循環が加速するようになった。

この原理を踏まえると、例えば、資本主義が、「奴隷を廃止させた」と言える。産業革命以後、より発展をするためには、生産性を上げるエネルギーが必要になった。そこで、石炭・石油の発見により、人の生産性より、発見したエネルギーの方が、生産性が高いと言える。将来、増加する信用がより確実であり、その増加角度が大きくなるならば、その選択は、正解だろう。


④インフラ(通信手段、輸送手段):経済的活動を促進させ、交換の循環をさらに促す結果となった。なぜ、人類は、道路舗装したのか?船、飛行機を作ったのか?現在なら、通信を作っている。これからのインフラになるのは、何か?そして、インフラを作れる主体は、誰か?昔の多くは、政府(公的)機関だった。だが、現在は、プラットフォームビジネスなど、民間企業が作ったサービスが、インフラの役目を果たすことも多くなっている。ただし、どちらかが、大事ではなく、両者連携が大事。制度・法律を設け、人類の発展に寄与するサービスを誘引できるは、官僚などの政府機関の人たちにかかっているかもしれない。

 

3. 政治体制要因

結論から言うと、「包括的な経済制度」が行われている政治であること、です。人々が経済活動に参加でき、その活動を通じて才能や技術を活用し、自分の望む選択をする制度のことを、包括的(inclusive)な経済制度と呼び、そういう制度が可能であるには、国家が必要であり、それがある程度中央集権的であって、安全な私有財産、法と秩序、契約を強制しうる存在であって、また公共サービスの提供をすることができないといけない。反対の特質をもつ制度を収奪的な(extractive)な経済制度と呼んでいます。


中央集権的(絶対王政まで行かない)・民主的、包括的・収奪的の軸で、4つの象限を作り、それぞれ、政治制度があるイメージを持ってもらえると、世界の国が、どの象限にいて、どこの国が発展しているか分かってくると思います。
→例1:民主的/包括的→アメリカ(大きな政府の時期もありましたが)
→例2:中央集権的/包括的→中国(1990年代くらいまで収奪的だと思っています)

つまり、包括的な経済制度は、意思決定者を、ある行動を選択するように動機づけるものです。例えば、資本主義社会において、私有財産が認められていることが、「人々に、より優れ商品を作って、少しでも多く売って、より多くの利益を上げる」ためのインセンティヴとなるというようなことです。

「人々に、より優れた商品を作って、少しでも多く売って、より多くの利益を上げる」
これを考えている企業/起業家は、上記を達成するために、その国のどういう政治制度がどういう経済的制度を生み出し、その経済的制度がどのようなインセンティヴをその国民にもたらすのか、ということを見る必要があると思います。

 

【C. なぜ、文明は、崩壊するのか?】

文明崩壊を招く5つの要因として、環境破壊、気候変動、近隣社会からの援助、その敵対的干渉、および社会がもつ問題対処能力を上げる。最初の4つのうちの1つでも不利に作用した場合に、そのことに対処する能力がなかった文明が崩壊し、そうではなかった文明が生き残っているという構図で解説がなされている。

 

 

-続く

 

 

【引用・参考図書】

・歴史
1. 経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える – ダニエル・コーエン(著)
2. FACTFULNESS(ファクトフルネス)――1の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 – ハンス・ロスリング, オーラ・ロスリング他(著)
3. 繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史 – マット・リドレー, 大田直子他(著)
4. 銃・病原菌・鉄――1万3000年にわたる人類史の謎 – ジャレド・ダイアモンド(著)
5. 文明崩壊――滅亡と存続の命運を分けるもの – ジャレド・ダイアモンド(著)
6. 世界全史 – 宮崎 正勝(著)
7. 国家はなぜ衰退するのかーー権力・繁栄・貧困の起源 – ダロン アセモグル, ジェイムズ A ロビンソン他(著)
8. 「豊かさ」の誕生――成長と発展の文明史 – ウィリアム・バーンスタイン、徳川家広(著)
9. サピエンス全史――文明の構造と人類の幸福 – ユヴァル・ノア・ハラリ(著)

・資本主義/経済
10. 経済成長という呪い – ダニエル コーエン(著)
11. 資本主義の終焉と歴史の危機 – 水野和夫(著)
12. 人工知能は資本主義を終焉させるかーー経済的特異点と社会的特異点 – 齊藤元章, 井上智洋(著)
13. ポスト資本主義――科学・人間・社会の未来 – 広井良典(著)
14. 資本主義という謎――成長なき時代」をどう生きるか – 水野和夫, 大澤真幸(著)
15. 人工知能と経済の未来――2030年雇用大崩壊 – 井上智洋(著)

・シンギュラリティ
16. シンギュラリティは近いーー人類が生命を超越するとき – レイ・カーツワイル(著)
17. 2045年問題――コンピュータが人類を超える日 – 松田卓也(著)

・未来考察
18. ホモ・デウスーーテクノロジーとサピエンスの未来 – ユヴァル・ノア・ハラリ(著)
19. ワーク・シフトーー孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉 – リンダ・グラットン, 池村千秋(著)
20. アフターデジタルーーオフラインのない時代に生き残る – 藤井保文, 尾原和啓(著)
21. 第五の権力――Googleには見えている未来 – エリック・シュミット, ジャレッド・コーエン他(著)

・情報革命以後
22. 進化するデジタル経済とその先にあるSociety 5.0 – 総務省|令和元年版 情報通信白書|PDF版