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目次
- はじめに
- A. なぜ、発展できたのか?
- B. 格差が、なぜ生まれたのか(なぜ、今、このような世界になっているのか)
- 1. 地理的要因
- 2. 制度的要因
- ・私有財産
- ・科学的合理主義
- ・近代資本主義
- ・インフラ(通信手段、輸送手段)
- 3. 政治的要因
- C. なぜ、文明は、崩壊するのか?
- D. 時系列で発展を見る
- a. 認知革命/狩猟時代
- b. 地理的要因
- c. 農業革命
- ・コラム①:「経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える」(本)と議論する
- d. 制度要因・政治体制要因
- ・コラム②:交換/交流から始まる加速
- e. 産業革命
- ・コラム③:私たちは、なぜ、体育が、週5で授業をしなかったのか?
- f. 包括的な政治制度への変化 〜日本の高度経済成長を例に見る〜
- g. 情報革命
- ・コラム④:技術と産業のフェーズ
- h. AI, IoT革命
- ・コラム⑤:大学教育で、何を鍛えるべきか?
- i. ブロックチェーン革命
- j. GNR革命
- 終わりに:若者の私たちは、どんな未来をつくっていくのか
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【D. 時系列で発展を見る】
時系列に、人類発展のポイントを載せました。
a. 認知革命/狩猟時代(約7万年前/他の生物との差別化)
b. 地理的要因(格差の出発点)
c. 農業革命(1万前/ライフスタイルの変化)
d. 制度要因・政治体制要因(3000年前/産業革命の要因)
e. 産業革命(300年前/エネルギー革命/生産性爆発/マルサスの罠脱却)
f. 戦後から包括的な政治制度への変化(市場変化)
g. 情報革命(物理的な距離を超越/情報大爆発/業務生産性)
h. AI, IoT革命(脳の代替/2020〜2030年:既存産業の破壊と創造)
i. ブロックチェーン革命(信用革命/2020〜2030年:金融, 2030年〜:生活に普及)
j. GNR革命(人体革命:genetics, nanotechnology, robotics/動きの代替/ 2040年〜:生活に普及)
k. シンギュラリティ(2045年〜:人類の再定義)
一貫して、発展の要因には、『交換(交流)』が存在していると考えています。本によっては、政治体制が全てだ、というような言い方がされていました。しかし、私としては、時代によっては、政治を実施するまでの集団が形成されていないと考え、根幹には、「交換」があると、考えました。各項目を詳細に見ていきます。
【約7万年以上前】
a. 認知革命/狩猟時代
・認知革命
脳の拡大により、認知革命が起こり、他の生物を圧倒した。人類に認知革命が起こり、ホモ・サピエンスによる文化の形成が始まる。
集団内の噂話や、虚構の共有によって、見知らぬ相手との信頼関係を築く、協力できる人数の限界が無限になる。
後の話にも繋がるが、元々、掲げていた虚構は、「王権は神から与えられたものである」であった。
それが、フランス革命や名誉革命により、「人は皆、自由で平等なものである」と、新しい虚構が生まれたのだ。だが、なぜ、17世紀にもなって、こんな革命起きたのか?それまで起きなかったのか?
・狩猟時代
狩猟時代にも、『交換』は、頻繁に行われていた。
日々、使用していた、道具の進化は、この時代にも、見られていた。この時代にこそ、交換の真価が垣間見えた。
この時代における、道具の進退の原因を探ったところ、他のコミュニティと交換をやめた集団は、道具の進歩がパタリと終わっていたのだ。
さらに、『生きるためだけに、1日を生きる時代』だと思われていたが、「初期の農耕時代」に比べて、圧倒的に、ゆとりのある暮らしをしていた。(ただし、初期の話である。農業初期の時期は、動物のフンなどの菌や農具未使用による生産性の低さから、大変な日々を送っていたのだ。)
【約1万年前】
c. 農耕時代
農耕は、狩猟時代に行われていた交換による、分業化の一環であった。つまり、作物を取ることを専門とする職業が生まれたのだ。
以下、農耕時代の簡単な人類の変化である。
①農耕の始まりと定住(1万年前)
・人口の増加
・都市や国の形成
・時間の拡大と未来への不安
・家畜の育成
↓
②想像上の秩序と書記体系(5000年前):集団の維持
・ 共同主観的世界の創造(虚構)
・ 書記の発明(情報の保存/人の死による情報紛失の克服/発展の大きな要因)
・ ヒエラルキーを成す集団形成、エリートの登場(格差発生)
↓
③3つの普遍的秩序の形成(5000〜300年前)
・ 経済的秩序のための貨幣
・ 政治的秩序のための帝国
・ 超人間的秩序のための宗教
①農耕の始まりと定住(1万年前)
初期は、最悪で、動物の糞により病気を引き起こし、天候により成り立たない自体も沢山あった。だが、「作物を資本として捉え、労働力を買う人間が生まれてきた」のだ。農耕の初期段階の課題を、少しずつ克服することになっていく。
例えば、鍬の製作もそうで、鉄や銅の形を変えていく作業は、並大抵のことではなかったはず。この作業に、分業できる状態になっていることで、専念し、農耕に活用できる道具をどんどん生み出していったのだ。
②想像上の秩序と書記体系(5000年前):集団の維持
農耕により、食料の増加から、人口が増加し、ますます、土地を拡大し、食料を増加する必要がある、と。このようなサイクルにハマり、農耕によって人口が拡大しすぎたことで、集団維持のため、虚構による「想像上の秩序」と「書記体系」が発明されるようになる。
③3つの普遍的秩序の形成(5000〜400年前=紀元前後)
人類の本能や身体的、精神的進化スピードで対応できる集団規模を超えること(人口増加)にもなった。都市の形成と政治の制度の重要性が上がり、のちに、革命を起こすに値するほどの権力が生まれてきた。
人口は幾何級数的に増加するが、食糧は算術級数的にしか増産できないので、必然的に社会の人口過剰による構造的貧困が発生し、時に人口崩壊の大悲劇が発生すると、言われていた(=マルサスの罠)。18世紀以前の世界各地の歴史で完全にこれが当てはまっていた。
だが、これを人類は、乗り越えたのだった。一体、どうやって、乗り越えたのか?(続く)
コラム①:「経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える」(本)と議論する
ヨーロッパを代表する経済学者が、経済と人類の歴史を読み解きながら、21世紀に求められる人類のあるべき姿を考える。世界経済の成り立ちから、現在までどのような道を人類が歩んできたのかを振り返ります。
※→は、門田の考え
■ヨーロッパの蘇生
地球のすべての文明の中で、他の文明を引き離し、自分たちのモデルを他の文明に押し付けたのは、最終的には西欧だった。
経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える
紀元1000年の時点で、ヨーロッパをアラブや中国と比較すると、西欧がテクノロジーの面で必ずしも優位に立っていた訳ではない。
10世紀のヨーロッパには、古代ローマやアテネの栄光の面影はなく、科学知識のほとんどが忘れ去られ、自給自足の経済状態へと逆戻りしていた。
ヨーロッパの輸出製品は、ほとんどの場合が奴隷だった。(自給自足の経済状態に戻ることは、様々な地域で、狩猟時代から見うけられたことでした)。
→制度が適切じゃなかったこと(宗教的分裂が激しかった)と、王権が弱まっていたことが要因だと考えています。
ヨーロッパ中世の経済復活の主な特徴の1つは、農業の生産性向上である。この時代には、農地が拡大し、人口が増えた。農具は鉄製になり、効率的な農機具が増えた。
経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える
馬の首輪や水車も普及した。農業の生産性向上による生産過剰こそが発展を促したのだ。
→中世の発達の要因は、それよりも、商業の発達であり、農業の生産性の向上は結果であると考えています。
例えば、12世紀、勃興したイタリアでは、ラックランド(lackland、土地なし、無地、欠地)の仇名で知られている、アンジュー帝国三代目ジョン王でした。彼は、功績を残せず、引きずり降ろされ、収奪的な政治をしていた王権が弱まりました。
同時に、地中海の貿易が上手くいっており、商人が台頭してきたと思います。
資本主義の原点もここにあるとする学者(水野和夫)もいるくらい、農業の生産性を上げるための投資をし、リターンを得ようとした商人がいたと考えています。
中世ヨーロッパの象徴は、特に、イタリアであり、地中海貿易による、交易(交換)から、分業化(職人)が、促進されて、発明が生まれたと考えています。
11〜13世紀まで、都市と商業の革命により、低迷していた都市部は、ヨーロッパ史の舞台中央に戻り、多くのものが発明され、また輸入されました。
-続く
【引用・参考図書】
・歴史
1. 経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える – ダニエル・コーエン(著)
2. FACTFULNESS(ファクトフルネス)――1の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 – ハンス・ロスリング, オーラ・ロスリング他(著)
3. 繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史 – マット・リドレー, 大田直子他(著)
4. 銃・病原菌・鉄――1万3000年にわたる人類史の謎 – ジャレド・ダイアモンド(著)
5. 文明崩壊――滅亡と存続の命運を分けるもの – ジャレド・ダイアモンド(著)
6. 世界全史 – 宮崎 正勝(著)
7. 国家はなぜ衰退するのかーー権力・繁栄・貧困の起源 – ダロン アセモグル, ジェイムズ A ロビンソン他(著)
8. 「豊かさ」の誕生――成長と発展の文明史 – ウィリアム・バーンスタイン、徳川家広(著)
9. サピエンス全史――文明の構造と人類の幸福 – ユヴァル・ノア・ハラリ(著)
・資本主義/経済
10. 経済成長という呪い – ダニエル コーエン(著)
11. 資本主義の終焉と歴史の危機 – 水野和夫(著)
12. 人工知能は資本主義を終焉させるかーー経済的特異点と社会的特異点 – 齊藤元章, 井上智洋(著)
13. ポスト資本主義――科学・人間・社会の未来 – 広井良典(著)
14. 資本主義という謎――成長なき時代」をどう生きるか – 水野和夫, 大澤真幸(著)
15. 人工知能と経済の未来――2030年雇用大崩壊 – 井上智洋(著)
・シンギュラリティ
16. シンギュラリティは近いーー人類が生命を超越するとき – レイ・カーツワイル(著)
17. 2045年問題――コンピュータが人類を超える日 – 松田卓也(著)
・未来考察
18. ホモ・デウスーーテクノロジーとサピエンスの未来 – ユヴァル・ノア・ハラリ(著)
19. ワーク・シフトーー孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉 – リンダ・グラットン, 池村千秋(著)
20. アフターデジタルーーオフラインのない時代に生き残る – 藤井保文, 尾原和啓(著)
21. 第五の権力――Googleには見えている未来 – エリック・シュミット, ジャレッド・コーエン他(著)
・情報革命以後
22. 進化するデジタル経済とその先にあるSociety 5.0 – 総務省|令和元年版 情報通信白書|PDF版
23. IT全史 情報技術の250年を読む – 中野明 (著)