————————————————————————————————
目次
- はじめに
- A. なぜ、発展できたのか?
- B. 格差が、なぜ生まれたのか(なぜ、今、このような世界になっているのか)
- C. なぜ、文明は、崩壊するのか?
- D. 時系列で発展を見る
- a. 認知革命/狩猟時代
- b. 地理的要因
- c. 農業革命
- d. 制度要因・政治体制要因
- e. 産業革命
- ・コラム③:私たちは、なぜ、体育が、週5で授業をしなかったのか?
- f. 包括的な政治制度への変化 〜日本の高度経済成長を例に見る〜
- g. 情報革命
- ・コラム④:技術と産業のフェーズ
- h. AI, IoT革命
- ・コラム⑤:大学教育で、何を鍛えるべきか?
- i. ブロックチェーン革命
- j. GNR革命
- 終わりに:若者の私たちは、どんな未来をつくっていくのか
————————————————————————————————
なぜ、国語, 算数(数学)は、多かったのか?
なぜ、体育が、週5で授業をしなかったのか?
私たちが、受けている教育のカリキュラムは、いつの時代に作られたものなのか。1950年頃の戦後のタイミングだと言われている。
教育の内容を政府(文科省)が考えているのであれば、政府はどのような意図で作られたカリキュラムなのか?
当時の日本は、産業として、ものづくりの分野を発展させようとしていた。海外(イギリス, アメリカ)の技術を模倣し、ものを作り、海外に売る(販路を商社が作った)ことを目指して、発展を目指そうとしていた。
それが、高度経済成長期と言われていた時期になっている。この時期に、伸ばしたかった企業とは、どういう企業か?
重工業の企業を発展させようとしていた。
結果として、今大企業となっている企業は、生産と流通を先頭切って開拓している企業ばかりだ。
そこで、重工業の企業が発展させるために、どういう人材を企業に入れたらいいと政府は考えたか?
それは、海外での教え方を日本に持ってきて、その教え方のまま日本で再現する人。
そして、その時日本に教えようとか根付かせようとしたのは何か?
それは、化学だ。
化学とは、過去の結果を他の結果と合わせながら、新しい結果/パターンを作り出し、記録していきながら新しい発見をもとに製品化していく。
それは、どのような人が得意なのか?
私たちが、算数/数学の授業時間が長かったことにつながる。
算数をやらせたのは論理的思考力のため。
解を導くための過程を出し、論理立てる作業。足し算引き算掛け算割り算ができていないとその先に行けないので、その基礎を小学校で叩き込む。
それが中学高校になっていくと、より複雑な事象になってきたときにどういう筋道を立ててやるべきか、というところを叩き込む
結果どういう人間が生まれたのか。
世界有数の論理的思考能力が高い人たちがいる国、数学オリンピックに出ても1位になる人が育つ国になった。
重工業において、Japan as No.1と言われるような世界最強のメーカーが生まれていく。
ソニーを筆頭に、パナソニックなど、世界最強のメーカーができてた。
私たちは、製造業において最強の人材輩出国家に育ってきた。
ただ、ITが入ってきたときに、新しいものを生み出すロジックが変わっていく。ITって製造業とは違うところに、概念がある。
どうして、AmazonやGoogleが、日本で生まれないのかというと、そもそも考える領域が全然違うから。
化学の世界では、実験を多く行い、発見したものから、応用をしていくという考え方を持っている。
ITは、化学でできた産業構造と全然違う軸で産業構造っていうのを作り変えてしまっているから、IT教育を受けていない日本では戦うことができない。
日本のメーカーが真似をしようと思っても、鍛えられているスキル、持っている能力も、いこうとしている方向性もビジョンも異なるから、なかなか追いつけない。
教育が結構一世代前のものが今も根付いていて、政治はおろか、教育も結局政治から降り、なかなかスピードをもって、変わることができない。
これまでの発展を考えたときに、少し遅い教育を受けてきたということを認識する必要がある。
世界各国はこっちに標準を合わせて問題解決能力、問題発見能力を身につけた上で、世界の問題を何と考え、それに対してあなたは何をしてきましたか、取り組みたいですか、それをどう修正してどう生かしてきましたか、というのをひたすらフィールドワークや議論をしながら、自分の頭で考えて、学んでいる。
私たちは、受験勉強で、何を鍛えたか?
確実に答えのある問題に、取り組み、途中過程を踏まえて、一個の答えにたどり着くための力。
しかもそれを超高速に処理を行う。
多分、受験勉強を他の海外のやつらにやらせたら余裕で勝てると思う。日本人は、あれだけの量を頭で覚えて処理して、時間短い中で、筋道立てて考えるのが、類を見ないほどに、得意である。
だけど、その知識を何に生かしますか、となった瞬間に詰まってしまう。
なぜかというとそういう訓練をほとんど積んできていないから。
だから、私たちは、大学卒業した後に社会人になったら何を学ぶべきかといったら、ほとんど答えが出ない。
そういうこと考える機会がなかったりとか、そもそも社会がどう発展していくのかを、教えられたり自分で考えた経験が極めて少ないので、「社会が発展するからこういう知識をつけなきゃいけない、この能力をつけなきゃいけない」ということを考える力が欠如している。
ただし、絶望するのは、まだ早い。答えの解法を学び、その解法を極めて、どのパターンが当てはまるかって考えることが、早いのは素晴らしいこと。
これだけの基礎能力の高さがあるので、足りてないことを考えていけば、キャッチアップがすぐにできる国家なんじゃないかなと考えてる。
在学中に頭を絞りたいのは、「卒業して企業に入ったら企業の中で何を学びますか」ということ。
話は変わるが、Googleを筆頭にいろんな国が自動運転の車を走らせている。
あれは製造業の車を作っている、TOYOTAとか日産とか一緒にやっているが、車を作っていく延長線上には自動運転車はない。
これなぜか。
車というのは、ハードウェアの領域。
物理学や化学の領域の最先端のものなので、そこに強い人がいたところで自動運転車は作れない。
広くいうと、重工業・製造業で発展した企業が、これからも発展するためには、別の開発ロジックが必要になる。ITエンジニアが必要な世界と物理的エンジニアが必要な世界。
だけど、トヨタがAIエンジニアを採用しようとした時に、日本国家にITエンジニアいるのかと考えたときに、実は日本ではITのエンジニアはほとんど育っていない。アメリカとか中国とかでは、育っている。
日本で採れないということは、海外から採らなくては、いけない。
では、本国アメリカの文化に合わせて作られたアメリカの企業と、日本の国に合わされた年功序列の企業とでは、スタンフォードの学生はどちらを選ぶのか。
明らか前者を選ぶ。
そのような状況の中で、トヨタとか日産はどうしたら彼らを採れるのかを考えている。
トヨタは諦めて、アメリカに日本人のいないIT研究所を作った。
給料の基準も明らかに違う。
日本はあくまで物理の車を作る製造工業に過ぎなくて、これから車の価値を決めるのはアメリカ。
トヨタの車はNo.1で売れているとか言うけど、中に働いているコアは、海外の人たちという状況が起きている。
私たちは、トヨタに入ったら、まず何をする必要があるのか。トヨタを今より良い会社にしようと思ったら、どういうことを考えて働かないといけないのだろうか。
上記のことを、私たち学生が、日本の有名な企業に入った時に求められること。
昔はJapan as No.1の時代はあの大企業に入れば安泰だ、どんどん輸出して、金を儲けられる、あなたの給料も上がってきますよという時代だった。
ただ、私たちの時代は、入ったとしても、牛耳っているのは日本人じゃない。
車の価値はもはや自動運転の精度であって、車の運転しやすさではない。
じゃあ国が発展してくためにはどういう人を育てなきゃいけないのか、自分はどういうスキルを伸ばさなきゃいけないのか、を求められる世代。
何度も言うが、教育のカリキュラムが一昔の内容だ。
まずこの状況を知って、大学の中で学ぶべきことをちゃんと考えて、社会に出て、どうやって企業を育てるべきなのかを考えられる人を1人でも多く輩出できたらと思っている。
日本を「真似をしろ」とアジアの国々が、こぞって、参考にし、非常に、成長した時期もあった。例えば、日本の成長した後、10年後20年後に極めて受験戦争が過熱したし、中国も過熱戦争が過熱している。
逆に内需と呼ばれる世界って、ものを作ったとしても自分の国の中で売れるかどうかは、大事。
日本の人口は減少している。
だから、いかにいいものを作ったとしても買ってくれる人が少ない。逆に、中国はめちゃめちゃな勢いで人が増えたので、下手なものを売ったとしても買ってくれる人が多い。当然どっちが成長するかは分かる。
金があるといい人材が雇えるので、いろんな人材が入ってくると技術が発展します。
そこで日本との差が出始めている時代だ。
ここに対して、負けないようにどうしたらいいかっていうところで、超難しい問題が突きつけられるのが2020年以降。
まさに第一歩はもう来ているし、さらに求められる。
だからグローバルでの活躍が必要とか、グローバルに出なくては、いけないっていうのは英語使えたらいいぞとかの次元ではない。
当然、英語使えた方が明らかに有利。英語を使うのは海外からの情報を得て、さらに何を作るのか、どういう方向に行くべきかの判断の土台に過ぎない。
歴史を学び、発展の大まかな方向性から、どうやって人が発展するのか学ぶべきかと、在学中に本気で考える機会は大事だと思う。
-続く
【引用・参考図書】
・歴史
1. 経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える – ダニエル・コーエン(著)
2. FACTFULNESS(ファクトフルネス)――1の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 – ハンス・ロスリング, オーラ・ロスリング他(著)
3. 繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史 – マット・リドレー, 大田直子他(著)
4. 銃・病原菌・鉄――1万3000年にわたる人類史の謎 – ジャレド・ダイアモンド(著)
5. 文明崩壊――滅亡と存続の命運を分けるもの – ジャレド・ダイアモンド(著)
6. 世界全史 – 宮崎 正勝(著)
7. 国家はなぜ衰退するのかーー権力・繁栄・貧困の起源 – ダロン アセモグル, ジェイムズ A ロビンソン他(著)
8. 「豊かさ」の誕生――成長と発展の文明史 – ウィリアム・バーンスタイン、徳川家広(著)
9. サピエンス全史――文明の構造と人類の幸福 – ユヴァル・ノア・ハラリ(著)
10. 第三の波 – アルビン・トフラー (著), 徳岡 孝夫 (翻訳)
11. 量子革命: アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突 – マンジット クマール (著), 青木 薫 (翻訳)
12. 気象を操作したいと願った人間の歴史 – ジェイムズ・ロジャー・フレミング (著), 鬼澤 忍 (翻訳)
・企業/労働
13. 会社は誰のものか – 岩井 克人 (著)
14. 会社が消えた日 三洋電機10万人のそれから – 大西 康之 (著)
15. コンサルティングの悪魔―日本企業を食い荒らす騙しの手口 – ルイス ピーノルト (著), Lewis Pinault (原著), 森下 賢一 (翻訳)
16. アップル帝国の正体 – 後藤 直義 (著), 森川 潤 (著)
17. 投資は「きれいごと」で成功する – 新井和宏 (著)
・制度/経済体制
18. 1940年体制 – 野口 悠紀雄 (著)
19. 戦後日本経済史 – 野口悠紀雄 (著
20. 現代日本経済システムの源流 (シリーズ現代経済研究) – 岡崎 哲二 (編集), 奥野 正寛 (編集)
21. 経済システムの比較制度分析 – 青木 昌彦 (著), 奥野 正寛 (著)
22. 比較制度分析に向けて – 青木昌彦 (著), 瀧澤 弘和 (翻訳), 谷口 和弘 (翻訳)
23. 高度成長 – 吉川 洋 (著)
24. 金融政策(第2版) (【ベーシック+】) – 小林照義 (著)
25. 戦後経済史―私たちはどこで間違えたのか – 野口 悠紀雄 (著)
・資本主義/経済
26. 経済成長という呪い – ダニエル コーエン(著)
27. 資本主義の終焉と歴史の危機 – 水野和夫(著)
28. 人工知能は資本主義を終焉させるかーー経済的特異点と社会的特異点 – 齊藤元章, 井上智洋(著)
29. ポスト資本主義――科学・人間・社会の未来 – 広井良典(著)
30. 資本主義という謎――成長なき時代」をどう生きるか – 水野和夫, 大澤真幸(著)
31. 人工知能と経済の未来――2030年雇用大崩壊 – 井上智洋(著)
32. シェアリングエコノミー – アルン・スンドララジャン (著), 門脇 弘典 (翻訳)
・現代考察
33. 21 Lessons: 21世紀の人類のための21の思考 – ユヴァル・ノア・ハラリ (著), 柴田裕之 (翻訳)
34. 増補版 なぜ今、私たちは未来をこれほど不安に感じるのか?――日本人が知らない本当の世界経済の授業 – 松村 嘉浩 (著)
・AIと経済
35. AIとBIはいかに人間を変えるのか – 波頭亮 (著)
・シンギュラリティ
36. シンギュラリティは近いーー人類が生命を超越するとき – レイ・カーツワイル(著)
37. 2045年問題――コンピュータが人類を超える日 – 松田卓也(著)
・情報革命以後
38. 進化するデジタル経済とその先にあるSociety 5.0 – 総務省|令和元年版 情報通信白書|PDF版
39. IT全史 情報技術の250年を読む – 中野明 (著)
40. インフォメーション―情報技術の人類史 – ジェイムズ グリック (著), James Gleick (原著), 楡井 浩一 (翻訳)
・未来考察
41. ホモ・デウス――テクノロジーとサピエンスの未来 – ユヴァル・ノア・ハラリ(著)
42. ワーク・シフト――孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉 – リンダ・グラットン, 池村千秋(著)
43. LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略 -リンダ・グラットン, 池村千秋(著)
44. アフターデジタル――オフラインのない時代に生き残る – 藤井保文, 尾原和啓(著)
45. 第五の権力――Googleには見えている未来 – エリック・シュミット, ジャレッド・コーエン他(著)
46. 国富論 – 原 丈人 (著)
47. ネクストソサイエティ – P F ドラッカー (著), 上田 惇生 (翻訳)
48. お金2.0 新しい経済のルールと生き方 – 佐藤航陽 (著)
49. 未来に先回りする思考法 – 佐藤航陽 (著)
新たな事業機会を見つける「未来洞察」の教科書 – 日本総合研究所 未来デザイン・ラボ (著)
50. スペキュラティヴ・デザイン 問題解決から、問題提起へ。—未来を思索するためにデザインができること – アンソニー・ダン (著), フィオーナ・レイビー (著), 久保田 晃弘 (監修), 千葉 敏生 (翻訳)
51. デジタルネイチャー 生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂 – 落合陽一 (著)(※これに関しては、1mも理解してないです)