シンプルに、結論から

人間は、シンプルなものに引きつけられる傾向がある。
シンプルさをもって、物事に取り組めば、熱狂的なものをつくることができる。

アップルのシンプルさの10のコアな要素を見て、自分の具体的なアクションにつなげる。

具体的なアクション

・仕事では、容赦なく、真実と真意を伝えること。腹づもりを探るコストはいらない。
・少人数で取り組む。組織が大きくなってもプロジェクト単位では、小さく取り組むこと。
・メッセージは最小限に留めること。
・少し時間を足りないくらいのスケジューリングをすること。
・アイデアの本質を示すイメージを利用する。出来るだけ、言語で伝えるのではなく、イメージを利用すること。
・シンプルな名前をつけること。プロジェクト、製品などに、フレーズをつけること。
・カジュアルに話すこと。形式ばった議論やプレゼンは、クリエイティブさを失う。
・人間中心にする。人間の本質を常に追求すること。
・不可能を疑うこと。他人の否定は、努力で超えること。
・成功のために、最大限の努力をする。自分が普段する努力(やり方)のスケールを100倍にして考えてみる。

シンプルさとは?

本書での定義は、以下です。

シンプルさを表現するのはむずかしい。それは選択であり、感情や道しるべだ。あなたが足を踏みいれた場所がシンプルさを信じているかいないかはすぐにわかるだろうから、シンプルさは精神と考えることもできる。  シンプルさは、〈頭脳〉と〈常識〉という、ビジネスにおけるもっとも強いふたつの力のあいだに生まれた子どもだ。

– THINK SIMPLE 序文より

なぜシンプルさが重要なのか

理由の1つ目は人間が本能的にシンプルさを好むからです。

「選択肢を与えられたときに、正常な人は複雑な道よりもシンプルな道を選ぶ」ということだ。

– THINK SIMPLE 序文より

人は年齢や宗教、文化、政治的信条に関係なく、シンプルさを好む。実際のところ、それは人間に限ったことではない。すべての生きている細胞にその傾向が刻みこまれている。

– THINK SIMPLE 序文より

また、もう1つの理由は現代は、複雑さに支配されているからです。

技術が発達した現代は情報過多で、多くの選択肢、周りの人の思惑やしがらみ、様々な理論やフレームワークなど非常に入り組んでいて複雑です。

そんな時代にシンプルさは差別化として使えるのです。

シンプルさの具体例

  1. Think Brutal (容赦なく伝える)

要は素直に思っていることをすべて伝えることです。良いことも、悪いことも。変に隠したり、嘘をついてお世辞を言ったりすることは複雑さにつながります。

率直さはシンプルであり、あいまいな言い方は複雑だ。

率直に伝える、伝えてもらうことで、自分が今どこに立っていて、何が目標で期限はいつなのか、何が成功で何が失敗なのかが明確になります。

そして明確さは、集中力の100%を前進する力にそそぐことを助けてくれます。腹の探り合いや顔色を窺って行動するかどうか考えることは本質的ではないため、省くべきです。

ちなみにこれはビジネスだけでなく人間関係全般に言えることです。何か不満があるなら率直に伝えてみましょう。逆に、良いことがあったら率直に称えましょう。

2. Think Small (少人数で取り組む)

考えることは大きく、それ以外は小さく

– THINK SIMPLE 2章より

総じて、この章では、少人数で取り組むことで、以下が得られる。
・効率が上がること
・成果が上がりやすいこと
・人間関係の質が保たれること

そして、その具体の一つに、良い会議をするために、以下の状況が大事だと言われていた。

1. 出席者は最小限にする
2. 30分以上続く時は退席する
3. 会議を使った時間を埋め合わせるべく、その日に何か生産的なことをする

– THINK SIMPLE 2章より

3. Think Minimal (ミニマルに徹する)

削る、最小化する。

これは、製品だけの話ではなく、目標にも言える。

普段から、立てている目標がシンプルか?
簡単に、要素分解、細分化、因数分解できる目標になっているか?

4. Think Motion (動かし続ける)

偉大なことを成し遂げるには、2つのことが必要である。
計画と、充分ではない時間だ。

– 指揮者 レナード・バーンスタイン

プロジェクトを2,3ヶ月単位で、目標設定やスケジュールを組むのが良い。

さらに、アップルには、2つの要素が加わる。

・計画
・充分ではない時間
・現実的な高い目標を設定すること
・動くのをやめないこと

– THINK SIMPLE 第4章

5. Think Iconic (イメージを利用する)

私にとって、マーケティングとは価値の話だ。この世界はとても複雑で雑音も多い。人々に我々のことをちゃんと覚えてもらう機会も簡単には得られない。どの会社もそうだ。だから、我々の何を知ってほしいかを明確にしておく必要がある。

– THINK SIMPLE 第5章

6. Think Phrasal (フレーズを決める)

商品のネーミングは楽しく、(願わくば)利益になるように

理想としては、なるべく少ない文字や単語や数字をうまく組み合わせて、その商品に関して、エッセイをかけるほどの内容を伝えなければならない。名前は、その商品のユニークなアイデンティティを作りだし、商品に個性を与え、願わくば、企業のブランド構築にも貢献させたい。

– THINK SIMPLE 第6章

ネーミング、名前をつけるという行為は、非常に、有益なことだと思います。
例えば、概念として、確立されていないことやモノに、名前をつけてあげることで、認知され、意味を持つこともあると思います。

アイデアも、価値も、本質を考えた上で、『先に』名前をつくってあげることで、見えてくることもあると思います。

7. Think Casual (カジュアルに話し合う)

伝える時は、形式張らない、いきなり本題に入って、大事なことに集中すべきです。

シンプルさはせっかちだ。いきなり本題に入って、大事なことに集中したがる。それはプレゼンターが説得力のある話をするべく準備に費やした時間を侮辱しているわけではなく、プレゼンターが話そうとしていることが往々にして過分だからだ。多くの人は言葉数を増やせば自分の賢さを示せると誤解しているが、実際はその反対であることが多い。

– THINK SIMPLE 第7章

シンプルさはさまざまな形をとる。それはアイデアにも製品にもなるし、インスピレーションにも、最終結果にも、一連のプロセスにもなることができる。なぜなら、シンプルさはものではなく概念だからだ。それは、あなたの仕事や、まわりの仕事、会社全体の運営のあらゆる部分に対する物の見方なのだ。ひとたび、世界をシンプルのレンズで見はじめれば、自分たちのビジネスを向上させる機会がたくさんあることに驚くだろう。

– THINK SIMPLE 第7章

8. Think Human (人間を中心にする)

人と結びつく最良の方法は、物事を説明する時に、人が日常会話で使う言葉で話すことなのだ。

– THINK SIMPLE 第6章

何をどう伝えるのかは、人間の本質を中心にして考える。
人間的な価値を評価し、人間を行動に駆り立てるものを理解すること。

人間中心設計(HCD)の概念に近い話だと思いました。
https://note.com/koheitorigoe7/n/nd943b734e78d

機械に人間が合わせるのではなく、人間に合わせて機械を設計(デザイン)すること。

9. Think Skeptic (不可能を疑う)

スティーブは自分がすばらしいアイデアを持っているならば、否定的な意見を無視し、アイデアを前進させることに集中することを早くに学んでいた。

すばらしいアイデアを生き残らせるためには、極端なことをしなければならないのだ。

– THINK SIMPLE 第9章

無理だと思ったこと、言われたことに対して、批判的に見て、どうやったらできるのかを考えることは大事である。

大体、何か新しく始める時は、批判されるので、何を信じてるのかを明確にし、取り組む必要があると思います。

10. Think War (戦いに挑む)

ある問題を解決しようとして、最初に考え出した解決策がとても複雑だったとしよう。ほとんどの人はそこで考えるのをやめてしまう。だが、そこでやめずに考えつづけて、タマネギの皮を剥くようにムダなものを削ぎ落としていくと、とても洗練されたシンプルな解決策にたどり着くことがよくある。

– THINK SIMPLE 第10章

最後に、本書の巻末についているスティーブ・ジョブズの言葉を紹介したいと思います。

シンプルであることは、
複雑であることよりもむずかしい。  
物事をシンプルにするためには、  
懸命に努力して思考を明瞭にしなければならないからだ。  
だが、それだけの価値はある。  
なぜなら、ひとたびそこに到達できれば、  
山をも動かせるからだ。  

– スティーブ・ジョブズ

シンプルさは、見失いがちだけど、そこにあると思う。
どう取り戻すかは、問いと目的が必要ではないかと思う。

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